よつば暮らしデザイン室

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Category Archives: 家づくり・構造

家の強度とデザイン、どっちが優先?

構造強度とデザインとどちらを優先しますか?

家を建てようと思ってる人でこの2択にすんなりこたえられる人はなかなかいません。

そもそも構造強度をおろそかにするってそんなことあるの?って思いますよね。

木造には木造の得意不得意があって、柱と柱の間隔があくような大空間は得意ではありません。2階建ての際、1階の柱が少ないところに2階の壁があるのも得意ではありません。

得意ではない=強度が弱くなる、と考えてください。

そういうことをおろそかにして見栄えの良い大空間や間取りをつくっている工務店や建築家や住宅会社はいます。

違法ではないし、今すぐ倒れる家というわけではありません。きっと。

この先何十年と人生を送る場として考えたとき、何千万という大金を払う買い物と考えたとき、その程度のことでいいのかどうか、よく考えて欲しいのです。

美しさやかっこよさは求めて当然です。豊かな空間はそれだけで人の心を豊かにします。

それと同じくらいに目に見えない構造強度にも気を配って欲しいのです。

構造強度が保たれてる範囲でのデザイン性を求めるべきです。

大空間が欲しいなら許容応力度計算は必須でしょう。それをめんどくさそうにいう工務店はやめたほうがいいです。

そこにかかる費用がもったいないと思うなら、大空間はやめましょう。

耐震等級3にすることに渋い顔するような会社はやめましょう。壁量計算だけではなく、耐震等級の計算も当たり前にしている会社を選びましょう。

見た目のかっこよさだけを求める家づくりはやめましょう。お金がもったいないです。

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工務店との契約前、契約後、いずれもOK。私、佐藤百世に設計を依頼しなくてもOK。
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これからの防災のための住まいとは

愛知建築士会女性委員会で防災セミナーを開催しました。

講師は名古屋大学減災連携研究センターの福和伸夫先生です。

著書も講演も多くメディアにも登場する福和先生の歯に衣着せぬ語り口をご存知の方もいらっしゃることと思います。

阪神淡路大震災の後、神戸の街はかなりのスピードで復興してきた。東日本大震災、熊本地震では、神戸ほどの復興がなされていない。それは、今の日本には復興できる国力がない、多くの建物は崩壊したらそれを元通りにする力がない。人口が減り行政や消防に携わる人間が減っている、地方が疲弊している、その傍ら災害は威力を増している、もはや避難所で生活して支援も待つのではなく、家自体をシェルター化する必要がある。コロナ禍で新しい生活様式となり今までのような避難所が難しくなった今、自宅のシェルター化はますます必要になってくる。

歴史的に見ても大地震が何度も起きている日本、それなのに壊れたところにまた同じような建物を建てたり、経済的なこと効率的なことを優先した建て方をしたり、川沿いに高層マンション建てたり、建築界は何も学んでいない。

家を建てる場合「地震のこと考えて強い家を建ててくれるのは当たり前でしょ」と思うかもしれませんが、実はそうではありません。

建てる依頼先によって考えや手法はまちまちです。どんな建物でも順守しなければいけない建築基準法で決められている強度は、最低レベルでしかありません。耐震等級という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、これは法律で必須になっているものではありません。耐震等級3というのが今の木造建築では最高等級になりますが(これ以上の強度を示す指標がないというだけで最高の強度ということではありません)、これを標準化しているところは多くはないように思います。特に大工さんや弱小工務店に依頼した場合は。

もっというと、建築士という資格をもっていても耐震等級の計算ができない人も多いですし、どういう間取りが耐震等級3になるか理解していない人も多いです。

耐震等級3にするなら、間取りを考えながら強度を維持することを考えなければ難しいです。でも、そうではない間取りも少なくないのです。

「お客さんがそこまで言わないから。」というのは建築業界の言い訳だと私は思います。

耐震等級3がどうしたら設計できるかわからないような人が間取りをつくる、そんなことがない住宅業界にしたい。なんだか日本の住宅業界のレベルの低さに悲しくなりますが。

これから家を建てるなら耐震等級3は必須です。それをごにょごにょ言うような会社にはどうか依頼しないでください。

それから、中古住宅の場合、昭和56年前だと耐震改修したほうがいいですよ、という言い方をしますが、昭和56年以降は安全かというとそうではありません。現在の耐震基準は平成12年のものです。阪神淡路大震災以降、法律が変わりました。
昭和56年以降平成12年前の建物についてあまり言われることがないのですが。おそらく今中古として流通している物件にこの頃のものは多いのではないかと思うのです。
上っ面のリフォームだけで見た目だけきれいにして、弱い建物のまま、という物件が増えている気がします。

中古を考えている方は「昭和56年以降だから大丈夫ですよ」という言葉を安易に信じないでくださいね。平成12年より前の建物は要注意です。

どうか見た目にこだわる前に、まずは中身にこだわってお金をかけてください。

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地震に強い家をつくるために必要なこと その2

以前こんな記事を書きました。

「地震に強い家をつくるために必要なこと」

では具体的にどういう間取りだと強度が弱くなるかというと、ポイントを2つあげてみます。

【①2階の柱と1階の柱の位置がずれているところが多い】

2階の柱と1階の柱が同じ位置にある割合を「直下率」といいます。

こんな間取りがあるとします。左が1階、右が2階です。吹抜けがあるとか極端なL型とか、特殊な形状ではありません。(玄関ないから実際はおかしいけど。)20帖あるLDKって憧れますよね。ウォークインクローゼットもある!

これの何がだめなのかというと。

これが直下率を計算したものです。紫色が1階と2階の柱が一致するところ。

左のオレンジ色の枠の中を見てください。柱直下率46.8%、壁直下率45.5%。どちらも50%をきっています。このCADソフトでは黄色の「注意」で表示されます。

この間取りでもおそらく耐震等級3にしようとすればできると思います。(外観にもよりますが)

とにかく、この赤丸のところに柱がないのは厳しいですね。2階に壁がありますから。2階から伝わってくる荷重を受ける柱が無さすぎる。

柱はなんで存在しているかというと、上からの荷重や力を下(地面)に伝えるためです。ここの柱が無いということは地震が起きた時に地面に力が逃げずにここでクシャっとなってしまう可能性があります。

熊本の地震の時に、今の耐震設計の住宅でも倒壊したものがあったというのはこういうことでした。

【②壁のバランスが悪い】

全体的に見て、1階は図の下のほうは柱と壁が少なくて上の方に集中してますね。柱と壁が少ないところ=耐力が弱いところです。

木造在来工法の場合、理想的には、ほどほどに強い壁が全体的にあることです。全体の数値を満たすために、柱と壁が少ない弱いところができると柱と壁のあるところに強い壁を持ってこざるを得なくなります。弱いところと極端に強いところができるわけです。建物全体の数値は満たしていても、弱いところがあると地震の時そこから崩れる可能性があります。

全体の数値を満たすこと、そしてバランスも大事ということです。

 

日頃から計算をしている建築士は、間取りを考えながらこういうことも考えてます。そして、お客様の要望を聞いているうちに、「この人の要望を満たすためには弱いところができそうだな」と勘が働きます。

そうすると、間取りをつくりながら計算もして確認しながら進めていくことができます。「こういう理由で構造耐力が弱くなるのでこうしたほうがいいです」と説明しながら間取りを決めていくことができます。

もっと言うと、標準的な計算ではなく本格的な構造計算が必要だな、と判断します。(構造計算はもっと専門的な建築士が行います。費用と時間が通常よりかかることが多いです)

間取りが決まってから「じゃあこれで計算してください」では遅い、ということです。

 

家づくりには様々な考え方があって、いろんな立場の人がいます。建築士として設計をしている私と、長年現場でつくってきた現場監督では経験も考え方も違います。「誰もが認める一つの正解」は存在しない世界です。

デザイン優先の人、素材優先の人、工法優先の人、得意分野もさまざまです。

違う立場の専門家が見て不足を補うことで、より安心安全な家づくりが広まって欲しい。そう思って私は家づくりのセカンドオピニオンをやっています。

間取り診断もやっています。ファーストプランが出た時点で間取り診断を受けることをおすすめします。たぶんファーストプランでは、お施主様の要望も施工者側の設計趣旨も表れているでしょうから。気を付けたほうがいいところ、が見えてくると思います。

何度もいいますが、間取り決まったから計算してね、では遅いです。

 

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