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窓をあける換気と窓をあけない換気

新型コロナ対策としてお店などでは換気を最大限にしているところが多いですね。飲食店はもともと取りついている換気扇が家庭用より換気量が多いです。

では、住宅はどうでしょうか。

法律で決められている換気は、キッチンなど火気使用室の換気扇と平成12年(2000年)以降につけられている居室の24時間換気があります。

火気使用室の換気は使用するガス機器とレンジフードの形状によって算定式が決められていてそれによって計算します。(たいていかなり換気量大きいのでわざわざ計算で決めることはほとんどないです)

この場合の換気の目的はガスの使用、火が燃焼することによる空気の汚染を解消するためですね。

居室の24時間換気はというと。シックハウス対策のためです。

シックハウスとは、住宅の高気密化と建材の工業によって、建材に使われている化学物質によって室内空気が汚染され健康に影響がでることを「シックハウス症候群」といいます。

厚生労働省HP「生活環境におけるシックハウス対策」

これを防ぐために室内の空気が1時間に0.5回入れ替わるように換気設備をつけるように義務付けられています。

多くの場合、リビングや寝室に外部の空気を取り入れる給気があって、トイレや洗面に空気を出す換気扇があります。

24時間換気が前提なので24時間換気扇が回りっぱなし、のはずです。

ところが、トイレの換気扇をつけるのはいいけど、臭い対策のつもりでいるのか、常に回しっぱなしにするほどじゃないといってスイッチつけて切ることができるようにしている住宅会社がけっこう見受けられます。

あの換気扇は臭い対策でつけているわけではなくて(もちろんその目的もありますが)、シックハウス対策なので、今トイレ使ってないから切っていいよね、ではないのです。

ここでもう一つ問題が。

断熱性を高めるためには気密は必要で、それは要する室内の空気を外に出さないことになります。

換気と矛盾しますよね。

24時間換気は計算上は1時間に0.5回室内の空気が入れ替わる換気量です。キッチンの換気扇ほど強力ではないので空気が入れ替わってるという感覚はほとんどないでしょう。

それでも、断熱性能を高くして外の冷たい空気をいれないようにしているのに常に外の空気が入ってくるようになっていたら。せっかくの断熱性能にロスが生じているわけです。

ということが、今の日本の住宅のほとんどでおきています。

それを解消するための熱交換型の換気扇というものもあって、高気密高断熱をうたっている住宅会社などはこれを採用しています。

こうなると、室内の空気はすべて換気扇でコントロールするので窓をあけなくてよい、むしろ窓を開けないで、という家になります。

数値的理論的にはそのほうが室内の空気環境はいいでしょう。

さて、ここまでは化学的法律的な話しですが。

窓をあけて空気をいれることの意味って、換気だけでしょうか。

窓をぱっと開けた時に心地よい風を感じた経験は誰でもあるのではないでしょうか。窓から入ってくる風に季節の移り変わりを感じることもありませんか。

全て機械でコントロールして年中快適な温度を保つ家ももちろん魅力的だし身体に負担がないので健康住宅といえるでしょう。それを否定するつもりは毛頭ありません。

でもなんとなーく、心情的にもやもやするんですよね。

高気密高断熱住宅をつくるとある建築家さんが講演の中で、「〇〇さんや△△さん(←二人とも住宅作家で有名なかた)はすぐに外部とのつながりうんぬんを言って窓をつくりたがるんだよね」と言っていたのが印象的でした。

たぶん、このへんはどちらがいいっていうことではなくて、個人の感覚の違いかなぁと思います。

家に、科学的な性能を求めるか、文学的な感情を求めるか。何に豊かさを感じるのか。

私は、科学4割文学6割、かなぁ。

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経年美化という住まい方

家を建てるにしても買うにしても、住み始めた後のメンテナンスは必ず必要です。

たいていガス給湯器が最初に壊れますね、10年くらいで。これ壊れたら生活に支障をきたすので修理交換は必須です。

よく言われるのが外壁です。使っている材料によってかなり変わってきます。いずれにしても面積が広いのでいざ塗り替えや補修となると金額はかかります。

外壁補修や設備機器となると専門業者じゃないと無理ですが、ある程度のことは自分たちで手入れをしてほしいなぁと思います。

欧米では住宅の手入れを自分たちでやることは当たり前なので、欧米の塗料などは専門家じゃなくても扱える製品がほとんどです。そして、手をかけていくことが当たり前なので年数が経過していつ物件ほど価値が高くなります。なので中古物件の流通は日本とは比べ物にならないくらいに活発です。

(というか、日本が異常に新築依存なのですけど)

このへんは本当に、文化の違い、を感じます。

外壁に木を貼ったり、ウッドデッキにしたり、柱がそのまま見えていたりすると、どうしても数年で変色します。もちろん塗装はしていても。

それを放置して劣化するから、という理由で使うことを勧めない工務店もあります。そのかわりに使うのが木目の樹脂のもの。ようするにぱっと見の模様が木目なだけの偽物です。

そんなもの使うならそもそもそのデザインやめたほうがいい、と私は思います。

時間の経過とともに質が劣化するのはどんなものでも同じことです。家にかぎらず電化製品だって。

ただ、それ以上に味が出るというのが木や自然素材のよいところです。

長く使い続けて手をかけることによってさらに魅力を増す、という使いかたができます。キズやシミも味のひとつ。

愛着が増す、世界で唯一のものになる、経年美化。

ただ劣化させるか、美化させるか、そういう住み手の使い方は建物にはっきりと表れます。

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家の強度とデザイン、どっちが優先?

構造強度とデザインとどちらを優先しますか?

家を建てようと思ってる人でこの2択にすんなりこたえられる人はなかなかいません。

そもそも構造強度をおろそかにするってそんなことあるの?って思いますよね。

木造には木造の得意不得意があって、柱と柱の間隔があくような大空間は得意ではありません。2階建ての際、1階の柱が少ないところに2階の壁があるのも得意ではありません。

得意ではない=強度が弱くなる、と考えてください。

そういうことをおろそかにして見栄えの良い大空間や間取りをつくっている工務店や建築家や住宅会社はいます。

違法ではないし、今すぐ倒れる家というわけではありません。きっと。

この先何十年と人生を送る場として考えたとき、何千万という大金を払う買い物と考えたとき、その程度のことでいいのかどうか、よく考えて欲しいのです。

美しさやかっこよさは求めて当然です。豊かな空間はそれだけで人の心を豊かにします。

それと同じくらいに目に見えない構造強度にも気を配って欲しいのです。

構造強度が保たれてる範囲でのデザイン性を求めるべきです。

大空間が欲しいなら許容応力度計算は必須でしょう。それをめんどくさそうにいう工務店はやめたほうがいいです。

そこにかかる費用がもったいないと思うなら、大空間はやめましょう。

耐震等級3にすることに渋い顔するような会社はやめましょう。壁量計算だけではなく、耐震等級の計算も当たり前にしている会社を選びましょう。

見た目のかっこよさだけを求める家づくりはやめましょう。お金がもったいないです。

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