よつば暮らしデザイン室

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Category Archives: 住まいについての考え

人生最後の住まいをどうしたいか考えたことありますか

高齢者のリフォームについていろいろ聞く機会がありまして。介護や相続が絡んでくるんですよね。世知辛い話も多いようです。

みなさんそんな話は他人にはしないから、調停とかって他人事と思ってるかもしれませんが、けっこう身近にあるのですよ。

話を聞いていて感じたのは、

体が悪くなってから考えていたのでは遅いということ。

70代80代になって体が思うように動かなくなり、そこそこ元気で動けてはいるものの、面倒なことを考えたり動かしたりする気力は無い。

そんな状態になってからでは遅いのです。

その状態になると、家の中を片付けようにも面倒になる、かといって子供たちに勝手にいじられるのは腹立たしい、話し合いも誰が世話を見るのかなど冷静に話を聞くことができない、とにかく、揉める。

そうなってから、お金の話や介護の話を親子で話し合おうとしても、うまく進まないように思います。

親の言い分、子の言い分、それぞれあって同じ意見にすんなり納まることはそう簡単にはないでしょう。

だから、体も気力も判断力も、そしてこれが一番大事、資金もある時に考えておかなければいけないと思います。

終活っていうと70代80代の人が多いそうですが、そのタイミングでリフォームに費用をかけられる人はよほど資産をお持ちか高額年金をもらってるかでしょう。やるとしたら、介護保険でできるような必要に迫られた程度です。

退職して現役の収入がなくなってからリフォームにお金をかけてしまうのは生活費や医療費に影響がでます。優先順位からいったらそちらのほうが先でしょう。

高齢者のリフォームで考えること、そもそも、最後はどこに住みたいか、です。

慣れ親しんだ今の家に住み続けたいのか、便利な街中のマンションに引っ越したいのか、憧れの田舎暮らしをしたいのか、至れり尽くせりの施設に入りたいのか、最後まで自由気ままに暮らしたいのか。

体力も気力も思い通りにいかなくなる前に、自分がどうしたいか考えないと、結局周りを巻き込んでもめごとをおこし誰にとってもいい想いは残りません。

人生の最後にもめごとを起こすって悲しいです。

そうならないうちに、自分が今後の暮らしをどうしたいのかを日頃から家族と話しあって置く必要があると思います。

子供の立場としては、親の世話をどうするかは兄弟姉妹で話し合いを何度もする必要があるでしょうね。一度や二度では後になって考えが変わることもあるから。

それと、やっぱり最後はリアルに顔を合わせる身近な人間関係って大事だなって思いました。距離が遠いと手遅れになることもありますから。

 

4月14日(土)「空き家・悩み事相談」@岡崎市りぶら

地元の専門家があなたの困り事の相談を伺います。無料です。

 

価値が上がる家づくりと価値が下がる家づくり

あなたは、住み続けることで資産価値が上がる家と、20年後には資産価値ゼロになる家と、どちらに住みたいと思いますか?

ちょっと長いですがこちらを読んでみてください↓

Why!なぜ日本人は住宅ローンに大金を払う?

これはドイツの例ですが、欧米はどこもこんなふうに長く住むことで不動産市場で家の価値が上がります。

リノベーションという言葉がはやってきて中古住宅を選ぶ人が多いような錯覚があるかもしれませんが、

住宅市場での中古住宅の割合は日本では約36%(2013年)です。アメリカ77%、イギリス88%に比べると圧倒的に少ないです。

日本の住宅寿命は20年、と言われています。新築しても20年後には建て替える、ということです。

なのに、そこに2000万を超えるような大金を借りて30年借金を返し続ける。

海外の人からみたら「Why!?」ですよね。

私は、日本人は家に対する意識が歴史的にみて低いと思っています。

地震や台風や湿度といった自然環境が厳しいところに、木造で建てるということは必然的に朽ちていくことが早い、災害で壊れることも多い。日本ほど災害のないヨーロッパが石造なのとは対照的です。

さらに、太平洋戦争で焼け野原になった日本は住むところを早急につくる必要があった。質より量が求められた。短期間でつくりあげるプレハブ住宅メーカーが存在しているのはこういう時代背景があります。

だから、日本人にとって家はその都度建ててどんどん朽ちていく耐久消費財であって、長くもたせる資産ではないのです。

でも、費用だけは一生分かかる・・・。

私は住宅業界にはいって20数年なので、この20数年のことしか体験していませんが、大きく変わったのは阪神大震災だと思います。

大きな災害があると住宅に関する法律が見直されていきます。阪神大震災後の平成12年に大きく法律が変わって耐震性が法的に求められるようになりました。耐震等級というものができたのもこの時です。

この少しまえくらいから「欠陥住宅」というものが騒がれたように思います。おそらく、昭和50年代60年代にこだわることなくバンバン建てた家の質が悪くてそれが露呈しだした頃だと思います。(あくまでも私の見解です)

ようやく、住宅の質を気にするようになってきました。

住宅業界というところはとても古い業界で考え方も古いです。改善や変化ということをあまり好まない傾向にあります。「今までこれでよかったんだからいいじゃないか」みたいなおじさん気質です。

でも!そうじゃない人もいるんです!

どうしたらいい住宅がつくれるか、何がいい住宅なのか、それを頭つかって考えて実践して改善して、そしてそういう家づくりが好きだという人がいるんです。

たいがいそういう人はつくることに長けていて宣伝力がないので目立たないし見つけられないかもしれません。

自分の人生を預ける住まいを、消費財ではなく資産にしたいなら、どこに依頼するかをもっと厳しい目で見てください。営業さんの対応がよかったから、なんていう資産価値とは全く関係ない理由で選ぶようなことに決してならないように。

どうしたらそういう家づくりができるか、確認すべきことはいっぱいあります。そういう専門的なことを何が良くて何が悪いかわかりやすく伝えることを私はしていきたいと思います。

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20年後に古くて汚い家と古くて美しい家

お客様にお会いするのにご自宅に訪問したり、リフォームの相談を受けるときなど、結構な築年数たった家に伺うことがあります。

壁のクロスがビリビリだったり床がギシギシいうような家もあれば、どっしりとして時の流れを受けとめているような面構えの家もあります。

以前、ご実家の横に新居を建てるお客様のところに現場監督と訪問したことがあって。ご実家が築80年くらいなんですけど、傷んでいるところもそれほどなくきちんとした家でした。

地方の元々農家だった家にありがちな、和室がならんで縁側があって奥に台所があるような、特に豪華でも凝ってるわけでもないけれど大工がきちんと時間をかけてつくったと思われる家です。

おそらく、屋根は定期的に葺き替え、日々きちんと掃除して汚れをためず、家を丁寧に扱って暮らしてきたんだろうな、そんな家です。

強く主張するわけではないけれど、しっかり見守っている、そんな風貌の家。

いい家だね、この家の横にふさわしいちゃんとした仕事しないとね、現場監督とそんな会話をしたことを覚えています。

こういう家に出会うことが時々あります。古くても美しく存在している家に。

美しいというのはデザインとか装飾とかという意味合いではなく、「きちんとしてる」という言い方があってるかもしれません。あ、でも結果的にこういう家はデザインも考えられてるからそこも美しくあるんですけど。

古くても美しい家になるために必要なのは、作り手の腕や使う材料も重要なんだけど、何よりもそこに住まう人の意識です。

そもそも、いい腕の作り手を選ぶのも、その作り手がいい材料を使うことができるのも、その家の主がその選択をしなければ成り立たないのです。

そして、その主の心意気に応えようとする作り手たちの心意気。それらがすべて揃ったとき、「いい仕事=いい家」はでき上がります。

経年劣化と経年変化、この違いがわかりますか?

時間の経過で古くなって質が劣化するもの、時間の経過で色や素材感が変化はするけど素材として劣化ではないもの。

残念ながら、今のほとんどの家づくりは経年劣化する家です。完成した時が一番キレイで後は劣化の道をたどる家です。クロスがビリビリになり床の表面が剥げていくような。それを取り去り新しいものに替えるしか手立ての無いものでできています。

自然素材といわれるものの良さの一つは、経年劣化ではなく経年変化で味わい深くなることです。

でもそれも、住まう人次第。

完成した時が一番小綺麗な家と、住む時間を経て美しさが増してオリジナルな存在になる家と。

時間をかけた家づくりは家の存在価値を高めます。そういう想いを実現できるような家づくりをしている作り手はそんなに多くはありません、でも確実にいます。そういう人達のこと、もっと知ってほしいと思います。

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