近頃の間取りで増えているものに
ファミリークローゼット
ファミリークローク
略してファミクロ
があります。
家事が楽になる!服が散らからない!
というイメージがありますよね。
ところが、
実際は使いづらかったり、思ったように使わなかったり
失敗した!と後悔する人もいるようです。
憧れのファミリークローゼット
思ったより使いにくいとなるのはなぜなのか
どういうファミリークローゼットなら使いやすくなるのか
必要な広さは?2畳?3畳?4畳?
こんな使い方ならこんなレイアウトがいいよ
参考になる間取りを交えてご紹介します。
この記事を書いている私は
地場の工務店で設計職を勤めた後、2013年に独立した一級建築士です。
今まで7,8社の工務店さんの注文住宅の設計を請け負ってきました。
毎週末、平均2,3組のお施主様と家づくりの打ち合わせをしています。
いろいろな工務店さんと家づくりをしているからこそわかること、
これから家づくりをされる方が失敗しないような情報をお伝えしていきます。
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目次
家族誰もが使えるクローゼットが
ファミリークローゼットです。
従来の間取りの多くは、クローゼットは寝室・子供室に付属してついていますよね。
個人の持ち物なので個人の部屋に収納する、という考えからです。
でも、日常の生活動線を考えたとき、
下着やパジャマはお風呂入るときにわざわざ寝室に取りに行くより脱衣室にあると便利じゃない?
あちこちの部屋に洗濯物を片付けるより1室にあるほうが家事が楽じゃない?
という考えから
みんなの衣類が収納できるファミリークローゼット
が増えました。
一口にファミリークローゼットといっても
大きく分けて2つのパターンがあります。
1)1階脱衣室近くにある場合
2)2階の寝室近くにある場合
順番にみていきましょう
脱衣室近くにある場合、2つのパターンが考えられます。
①下着やパジャマの収納がメインの場所
②帰ってきた時や朝出掛ける時に着替える場所
①については
お風呂に入る時に必要になるもの、という考えです。
出かける時に着る服やコートまでもここに収納することはないので
4人家族でも2帖くらいあれば足りそうです。
ここで着替える
ということはほとんどなく
お風呂入るときくらいです。
②帰ってきた時や朝出掛ける時に着替える場所の場合
帰って着た時でも、朝起きた時でも
寝室で着替えずに
リビングで脱いでそのままにしちゃう人がいる家庭では
1階に大きなクローゼットがあると便利です。
仕事から帰ってきてすぐ食事の支度!
という人も
1階にバッグやコート置き場、
さくっと着替えられるスペースがあるほうが楽です。
ただし
この場合は広いクローゼットにしておかないと
中途半端にしか服を収納できずに
かえって不便です!!!
全部の衣類が入らない収納量だと
着ようと思ったものがない
季節ごとに1階と2階で服を入れ替えなきゃいけない
ということが起こります。
考えただけでも不便極まりないですね・・・。
着替えるぶんの広さや配置を考える必要があります。
玄関から見えるところだと着替えるのはちょっと困りますね。
このお家は乾燥機で乾かすことがメインのお家です。
脱衣ランドリーで洗濯~乾燥~仕分けをして、
下着類はファミリークローゼットへ収納できます。
また、洗面の近くでもあるので
帰ってきて手を洗って、上着とバッグを置く場所としても使えます。
家族共有のウォークインクローゼットです。
個室に十分な収納がつくれない
子供室の使い方が未定
全ての衣類を1か所にしたい
季節外の衣類をしまう
といった理由が考えられます。
個室にクローゼットがなく、すべての衣類がここにある場合は
かなりの収納量を確保しておかないと
後々、片付かない家、衣替えが面倒な家、になってしまいます。
単純に考えても
夫婦の寝室に3帖のクローゼット、
子供室2室にそれぞれ1帖のクローゼットがあるとしたら
それを全て足した広さ=5帖のファミリークローゼットが必要
ということです。
また、誰からもアクセスしやすいように
各個室の中心に配置することが重要ですね。
ドアあけたら目の前がクローゼット、となることが理想です。
こちらのお家は寝室と子供室の間にファミリークローゼットをつくりました。
一人がハンガーパイプ1本分、という考えで大きさを決めています。
寝室からすぐ隣なので
着替えるのは寝室でも不便ではないですね。
洗濯し終わった衣類を個室にそれぞれ持っていくのは面倒ではありませんか?
家族に自分で持って行って欲しくて置いておくと
いつまでもリビングに置きっぱなし、ってこともありませんか?
それが解消されるのがファミリークローゼットです。
ファミリークローゼットにしてみんなの衣類を1か所にもっていくようにすれば
それぞれの個室にもっていかなくてもすみますよね。
これで洗濯物のかたづけはぐっと楽になります。
洗濯物を干す場所の近くに
ファミリークローゼットがあると
家事動線がかなり短くなります。
家事楽を目指して
ファミリークローゼットをつくるなら
脱衣兼ランドリーの横にファミリークローゼット
という間取りがおすすめです。
ただ、室内干しする場所=ファミリークローセットの間取りも時々みますが
湿気が高くなるので
換気が良くなる工夫、湿気に強い壁材、など、気を付けたいですね。
お風呂に入る時、どこにいることが多いですか?
リビングですか?キッチンですか?
そこから2階の寝室にパジャマを取りに行きますか?
そういう人は脱衣室そばにファミリークローセットがあると便利ですね。
外から帰って着た時にすぐ部屋着に着替える
バッグや仕事道具を1階に置きたい
そういう人もそのために個室に行くより
1階にファミリークローゼットで
収納と着替えるスペースがあると楽です。
リビングで服ぬいでソファに脱ぎっぱなし
なんて人がいる家庭は1階にクローゼットをつくりましょう。
子どもが小さいときは着替えを親が手伝うと思います。
朝バタバタと家事と自分の支度と同時進行の人も多いですよね。
そんな時はLDK近くにあるファミリークローゼットだと
あちこち行かずにすみますね。
とても便利そうに見えるファミリークローゼットですが
よーく考えてつくらないと
実は使いずらい、ということになります。
使いづらくなる理由の一番はこれです。
1階にファミリークローゼットを希望したけど
LDKやランドリーも広くしたいので
ファミクロが2帖しかとれなかった。
2帖ですと、
外出用のコート類や制服やバッグの収納
下着やパジャマだけの収納
など
部分的な衣類の収納なら足りるかもしれません。
でもいざ使い始めたら
他の衣類もここに持ってきて着替えるようになった
となると
2帖では足りないでしょう。
生活習慣にあわせて使い道をしっかり想定しておかないと
足りなくなりそうです。
1日にいつ、何回、どこで着替えますか?
そんなこと気にしたことない、という人がほとんどだと思いますが
これを把握できていないと
使いずらいファミリークローゼットになる可能性大です。
着替える回数、タイミングは人によって違います。
起きてすぐ着替えるなら
ファミリークローゼットより
寝室内にあるほうが便利です。
仕事から帰ってきてカバンは共有スペースにおくより自室や書斎におくなら
結局は個室にいくので
ファミリークローゼットで着替えなくても動線は変わらないかもしれません。
共有スペースで着替えることに抵抗のある人もいます。
そういう人は、いちいちファミリークローゼットに服を取りに行って個室にもどってくる手間が
かえって面倒になります。
家族みんなが同じ生活動線ではないし
同じ嗜好ではありません。
衣類をしまう時には1ヵ所だと家事動線は楽ですが
自室以外に衣類があることで
家事以外の動線が楽になるのか
日頃の生活習慣と照らし合わせて考えることが必要です。
かえって片付けにくくなり出しっぱなしになる可能性もあります。
お風呂からでた時以外は、
着替えるのは、衣類が収納してあるところの近くが基本だと思います。
ファミリークローゼットに場合、
そこで着替えますか?
個室に持ってきて着替えますか?
家族一緒の場所で着替えることを
家族みんなが気にしないならいいですが。
上記で書いたように、
個室で着替えたい人にとっては
自室に衣類が無いのは不便です。
家族全員が気にしないとして、
みんながファミリークローゼットで着替える場合も
朝の出かける支度の時に重なると狭くて着替えずらいです。
収納量だけでなく、着替えるスペースも必要になるので
そこそこの広さが要ることになります。
結局、自室に洋服掛けを置くはめになったら
元も子もありません。
家族のいるスペースで着替えることを嫌がる
自分の持ち物が家族共有のスペースにあることを嫌がる
思春期になれば十分にあり得ますよね
おしゃれ好きな子や自分の物が多い子はなおさらです。
その時にはタンスを子供部屋におけばいい
という考えもありますが
置き家具は収納量が少ない、背の高い家具は地震の時に危険
ということは頭にいれておきましょう。
収納量が足らない子供室で
かたづけがキライな子になってしまう、、、なんてこともあるかもしれません。
子供部屋のことなんてどうなるかわからないから
たいして考えない方が多いですが
最低限の収納は用意したほうがいいでしょう。
1階のファミリークローゼットに下着や部屋着だけおいて
それ以外は自室のクローゼット
とした場合。
下着、部屋着、といっても
具体的にどれとどれなのか、わかりますか?
パンツはお風呂入ったときに着るから1階
靴下は朝起きた時だから2階
Tシャツは?1階?2階?
女性の場合はさらにアイテムが増えて複雑です。
2階で着替える時にほしいと思ったアイテムが1階にある
となったら。
面倒ですよね。
さらには、洗濯物をしまうとき
本人が自分で仕分けて1階2階と分ければいいですが。
「このTシャツはパジャマだから1階、これは出かける用だから2階」
なんて言われたら・・・。
家事を担う人は爆発しそうです。
じゃあ面倒だから全部1か所のクローゼットで1階に配置するとして。
朝着替える時は?個室で着替える時は?
ということを考える必要がでてきます。
朝起きてファミリークローゼットで着替える場合
寝室から出てパジャマのまま移動するとき
寒かったら嫌ですよね
今建てるなら、高気密高断熱化が進んでいるので
昭和の家のように、暖房されていない廊下が外みたいに寒い
ということはほぼありません。
ですが、寒くない、わけではありません。
薄着では寒さを感じるでしょう。
本当に高気密高断熱の家では
冬でも個室以外も室温17度以下にならないようになっていたりします。
全館空調があって家じゅうに空調が効く、という家もあります。
そこまでの断熱や空調がない家では
寒がりな人、朝が苦手な人にとって
寝室からでて着替えるのは苦痛になりそうです。
広さが足りなりファミリークローゼットは
絶対に使いずらいです
4人家族の衣類を1ヵ所に収納するなら
最低でも3帖
1.8mのハンガーパイプが4本
の広さは必要でしょう。
ただ、この広さだと
着替えるのには狭いです。
中途半端な広さでは
かたづかない家
になってしまいます。
こちらは2階に浴室をもってきた間取りです。
個室を極力小さくしても
ファミリークローゼットは4帖弱あります。
脱衣ランドリーもすぐ横にあるので
洗濯動線はとても楽になりますね。
冬のコート、作業着のジャンパー、制服、仕事カバン、バッグ
明らかに「外用のもの」とわかるアイテムのみなら
迷わずに済みます。
この場合は玄関のすぐ近くや
リビング横にあると
日常の動線が楽ですし
脱いだジャンパーがリビングに散らかってる
ということが防げます。
ただ、その日着ていたコートをかけるだけなら
ファミリークローゼットにするほどではなく
シューズクローク内にコート掛けがあれば足りることがほとんどです。
こちらの間取りはリビング横にファミリークローゼットをつくりました。
帰ってくるとソファに服を脱ぎっぱなし
というご主人なので
いちいち注意するのも嫌だから
すぐ片づけられるように
という理由からです。
「ちょっとここに脱ぎっぱなしにしないで!」
という前にかたづける場所があれば
イライラが減るかも!?
広さ2.5帖くらいなので
そんなに広くはありません。
2階にもしっかりクローゼットはあるので
1階のファミリークローゼットは日常よく着る服の収納
というイメージです。
脱衣所そばにファミリークローセットをつくるけど
2帖くらいしか広さがとれないなら
お風呂に入るときに必要になるものを収納する場所
と考えるのはどうでしょうか。
パジャマと下着
下着といってもお風呂から出たときに身に着ける下着です。
全ての衣類をここにするなら
4帖くらいはほしいですね。
1階に全ての衣類を収納するわけではないので
2階にも通常のクローゼットが必要になります。
こちらの間取りは
脱衣兼ランドリーの隣にファミリークローゼットを配置しています。
全ての衣類を収納するというより
つい散らかってしまう衣類
お風呂に入る時にいる下着やパジャマを収納する
という予定です。
なので
2階の個室にはしっかりクローゼットがあります。
キッチン、脱衣兼ランドリー、ファミリークローゼット
この3つが近いと
家事動線はぐっとコンパクトになりますね。
最近SNSでもセカンドオピニオンでも
ファミリークローゼットについての相談が増えています。
◎2帖のファミクロの間取りを提案されたけど使いやすいのか
◎この間取りでファミクロをもっと広くできないか
◎ファミクロあったほうがいいのか悩んでいます
といったご相談です。
ファミリークローゼットを何のために欲しいのか
これをよく考えてください。
メリットのところにも書きましたが
①洗濯物をあちこち収納する手間を減らし家事楽にする
②わざわざ個室で着替える手間を減らし生活動線を楽にする
この2つです。
家事を楽にするというより
個室にわざわざ服を脱ぎにいかなくていい
このほうが家族全体のメリットが大きいように思います。
ファミリークローゼットのメリットは家事楽よりも
「服をそのへんに脱ぎっぱなしにしちゃう人」対策です
洗濯物をあちこち収納する手間を減らして家事楽にしたいなら
仕分けまではしておいて
後は各自持っていきやすいシステムはどうでしょうか。
ランドリールームを広めにして
家族分のカゴをおいて
その中に洗濯物を仕分けしておく
カゴの中身は各自片づけてもらう
という方法がいいな、と個人的には思います。
いかがですか。
ひとくちにファミリークローゼットといっても
いろいろなことを考えなければいけないことがお分かりいただけましたか。
間取りに生活をあわせるのではなく
どういう生活習慣、動線なのか
そのためには何がどうなっているのかいいのか
と考えるのが間取りです。
間取りで迷ったら
図面だけを見てあれこれ悩むより
日頃の生活習慣を細かく分析して間取りに落とし込む作業が必要です。
自分ではわからないという人は
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