近頃人気の平屋の家ですが、メリットはもちろんたくさんありますが、
デメリットも当然あります。
メリットを存分に活かして、デメリットを感じさせないような間取りにしたいものですよね。
ここでは、平屋の家のデメリットと、それを解消できるアイデアをご紹介します。
メリットはこちら↓に書いていますので、どうぞ参考にしてくださいね。
平屋が増えている理由は
30坪程度のこじんまりした家が増えていること、夫婦二人の家が増えていること、など、理由はいろいろあると思いますが。
私はこれが大きいと思っています。
外観のカッコよさ!!!
平屋の建物の、横にのびやかなプロポーションは本当にかっこいい!!!
インスタや雑誌でかっこいい外観をみたら平屋だった、ということから、平屋いいなぁと思いはじめた人は多いのではないでしょうか。
かっこいいだけじゃなく、住み心地よく快適な家にするために、平屋のデメリットを理解して、じょうずに解消してほしいと思います。
平屋っていいなぁ、と思って注文住宅を計画しはじめたみなさんに、
住んでからの後悔を減らし、住み心地よい平屋のおうちにするための知識をお届けします。
この記事を書いている私は、設計事務所や地域密着の住宅メーカーの設計職を経て、2013年に独立した一級建築士です。
今まで手掛けた住宅は300棟ほどあります。
今は地元の住宅会社さんからご依頼いただいて、建築士として打ち合わせからインテリアコーディネート、法的なこと、耐震等級や省エネ等級の計算などをしています。
住宅会社さんからのご依頼だけでなく、直接お施主様からご依頼いただいて注文住宅やリフォームの設計もしています。
私自身が設計するだけでなく、
セカンドオピニオンとして、間取りや工務店の選び方などのご相談も受けています。
注文住宅の世界は、建てる会社の実力も方針も金額も本当に様々です。
知識のない一般の方がそれを判断して1社に決めなければいけません。
家の見た目や営業さんの人当たりの良さで決めるのではなく、家の性能、会社の実力をしっかり見極めて選んでほしいのです。
そのために、これから家を建てるみなさんの役に立つように、私の知識と経験をできるだけわかりやすく発信しています。
平屋のデメリットとは?
まず、平屋のデメリットをあげてみましょう。
①日当たりが悪い部屋ができやすい
②廊下のある間取りになりやすい
③防犯上不利になりやすい
④水害の影響が大きい
⑤建築費が2階建てより割高
では順番にみていきますね。
①日当たりが悪い部屋ができやすい
4人家族3LDKの場合、LDKと個室の3室をすべて南や東に向けようとすると、こうなります。かなり極端ですが・・・。
細長い家になることがイメージできますよね。
敷地のどこにでも建てられるような広い土地ならいいのですが、なかなかそうはいかないでしょう。
そうなると、寝室や子供室が「奥」に配置されることが多くなります。
こんな感じです
みんなが集まるリビングを、一番条件のいい快適な場所に持ってくることがほとんです。
そうなると、寝室や子供部屋は奥に配置せざるを得ないことになります。
寝室は夜寝るだけだから、子供はリビングで勉強することがほとんどだから、ということで特に日当たりを気にしない方もいらっしゃいますが。
日当たりは、昼間の家にいるときだけを考えればいいわけではありません。
朝目覚めるときに薄暗い部屋では気持ちよく目が覚めないということもあります。
常に日の当たらない西北は水はけが悪くいつもジメジメしているということもあります。
西日がガンガンにあたる部屋は夏の夜に室温が高くなることも考えられます。
直接日が当たるかどうかだけでなく、
敷地にたいしてどこに配置されるかということは、その部屋の居心地にとても影響します。
西や北に開けた土地で、風通しがいいとか眺望がいい土地なら、必ずしも西北が悪いわけではありません。
では、どうしたら奥の部屋でも居心地のいい部屋になるでしょうか。
広大な敷地でどの方角も隣地からの距離が十分にあるならいいですが、
たいてい2方向、なかには3方向を建物が近いということがあります。
そういう場合は、あえてL型やコ型の建物にして小さな空間をつくるという方法があります。
こうすると、窓の前がすぐ建物でなんだか暗い、ということを防ぐことができます。
中庭をプライバシーの確保された庭にしたり、あえてバックヤードにしてアウトドア用品置き場や庭仕事につかったり。
方角や周りの建物の状況によっては、奥の小さな空間でも意外と日が当たって洗濯物が乾く!ということもあります。
ただし、L型やコの字型といった建物は構造的にはあまりバランスがよくありません。
きちんと計算をして構造強度を確保した間取りをつくる必要があります。
平屋の間取りこそ、敷地や周囲の状況をよく観察して見極め、居心地のいい部屋をいかにつくるか、設計士の実力が問われます。
たんに、必要な部屋数を敷地内におさまるようにレイアウトすることが「間取り」ではありません。
平屋の家を建てたいと思っているなら、敷地の悪条件をカバーして居心地の良さを生み出すような設計をしてくれる会社を見つけましょう。
ここで1つ注意を。
奥に配置された日当たりの悪い部屋に、安易にトップライトをつけることは、私はお勧めしません。
なぜなら、雨漏れのリスクが高いからです。
そして夏はとても暑くなります。北に向いてる屋根であっても真夏は直射日光が入ります。
寝室にトップライトはおすすめしません。
②廊下のある間取りになりやすい
面積の無駄をなくして動線のいい間取りにするには、
廊下をできるだけ少なくすることがポイントです。
廊下はどういうところにできるかというと、
玄関からリビング、リビングから個室、個室からトイレなど水回り
というルートです。
リビングから直接水まわりに入ったり、リビングから直接個室に入ったり、廊下をなくす間取りは近頃増えています。
平屋は、階段という移動のショートカットがない分、すべてが横移動ですので廊下ができやすくなります。
リビングから直接トイレはいやだな、とか、リビングと夫婦の寝室が隣り合ってるのはいやだな、といった、ここは離したいと思う部分は、廊下のようなワンクッションおける空間をつくるほうがいいでしょう。
平屋のメリットとして、個室から玄関までの動線の短さがあります。
朝出かけるときに、1階2階を行ったり来たりしなくてもいいというのは楽ですよね。
でも、玄関から個室までがリビング通って廊下も通って、となるとそのメリットが薄れる気がします。
ポイントは玄関の位置です。
平屋の場合、玄関は間口の中央にあるほうが断然動線が短くなります。
特に、リビングと寝室を離したい場合はこのレイアウトはうまくいきます。
③防犯上不利になりやすい
空き巣などの侵入者が家のどこから入るかご存じですか?
無施錠のドアに続いて多いのが窓です。
1階の死角になる位置の窓です。
平屋は当然すべて1階ですので、それだけ死角になる窓が多いということです。
表から人目につかないところに入り込んでしまえば、泥棒は窓を割って入ってきます。
住宅の防犯対策にはこのようなものがあります。
■防犯ガラス
ガラスとガラスの間に樹脂膜が入った合わせガラスです。断熱のためのペアガラスの場合は、2枚のうちの室内側のガラスが防犯合わせガラスになります。
樹脂膜の厚さによって、ドライバーで割れないもの、バールで割れないもの、など防犯性に違いがあります。
道路からは見えない、お隣との間の狭いところに面した窓など、死角になりやすい窓は防犯ガラスにするとよいでしょう。
■二重ロック、ピッキング対策キー
玄関や勝手口が人目につかない位置にある場合、ここから侵入することも考えられます。
侵入犯は、鍵穴に工具をいれて解錠してしまうピッキングといわれる方法で侵入します。
今住宅を新築する場合、玄関ドアや勝手口の多くは、鍵穴が2か所あって、鍵もディンプルキーといわれるピッキングに強いものではあります。
ただ、どんなに鍵を強力にしてもかけ忘れたら意味がありません!
そして、侵入犯の多くはかけ忘れたところから入ってきます。
ご注意を!
③水害の影響が大きい
この数年、豪雨や台風による水害が増えています。
気候が今までの日本とは変わってきていると感じているのは私だけではないと思います。
河川が増水する時だけでなく、集中豪雨の場合、土地が低いところは増水して床上浸水がおこります。
みなさんは、お住まいの地域、これから住もうとしている地域の、ハザードマップを見たことはありますか?
これから家を建てるなら、必ず見てほしいものです。
2階建てより平屋のほうが水害の時の危険性は高いです。
2階の窓から助けを求める人をニュース映像で見た記憶のあるかたも多いでしょう。
1階が浸水しても2階に逃げれば救助を待つことができます。
ぜひ、ハザードマップを確認してくださいね。
⑤建築費が2階建てより割高
意外に思う方が多いのですが、同じ面積の場合、2階建てより平屋のほうが割高です。
基礎と屋根の面積が増えるからです。
2階建てで階段が増えた増額分より、基礎と屋根の費用のほうが高いんですよね。
もうこれは、平屋にした人の宿命です!
少しでも建築費を少なくしたい!でも面積は削れない!というなら、平屋より2階建てのほうがいいでしょうね。
どうしても平屋がいい!平屋の魅力にはまってしまった!
という人は、がんばって他で費用を抑えましょう。
平屋っぽいけど実は2階建て、というプランもできます。
子供部屋だけを小さくして2階にもってくると、
見た目は平屋にみえるけど、実は2階がある、ということができます。
小屋裏部屋みたいな感じですね。
平屋におさめるにはどうしても敷地が狭い、とか、がっつり2階建てにするほど2階に必要な部屋が多くない、という場合にこの方法を使うことがあります。
ただ、構造の組み方がちょっと特殊になるので、そのあたりを考慮した設計が必要です。
5つのポイントをご紹介しましたが、いかがですか?
デメリットはあるものの、それをカバーすることができればメリットも多い平屋です。
平屋に限ったことではありませんが、敷地をよく読むということが平屋では特に重要です。
隣地の状況、日当たり、風通しを無視して、必要な部屋をレイアウトしただけの間取りでは、居心地の悪い部屋ができてしまいます。
アイデアが豊富で、さまざまな条件を考慮してくれる設計士さんに頼みたいものですね。
敷地がある程度広くなければできないので、憧れの平屋、と言われたりもします。
かっこいい平屋ができたら、毎日おうちに帰るのが楽しみになりそうです。
いろいろ工夫して、居心地のいいあなただけの自慢の家を実現してくださいね。
平屋にしたいけど、でてきた間取りだとちょっと不安だわ、と思った方、
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