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昭和美術館南山寿荘を訪ねて

愛知建築士会女性委員会の見学研修会で昭和美術館南山寿荘を見学しました。

こちらは日本建築士会連合会女性委員会で作成した『魅力ある和の空間ガイドブック』にも掲載されています。

南山寿荘は、江戸末期に尾張藩家老の渡辺規綱が別邸として堀川沿いに建てたもので、それを昭和10年代に実業家の後藤幸三が今の場所に別邸とするために移築したものです。

渡辺規綱は茶人としても知られていて、実弟で京都裏千家へ養子にいった玄々斎もこの建築に大きく携わっているとのこと。随所にさまざまな意匠の拘りがみられます。

特に、茶室は母屋に対してねじれた配置になっており「捻駕籠(ねじかご)の席」と名付けられています。駕籠とは昔の偉い人が乗った、あの駕籠です。上からみると駕籠のような形に見えることからだそうです。

元々は堀川沿いの斜面に向かって建てられたため、堀川から階段をあがって内腰掛を通って茶室に入るようにつくられていて、移築時もその面影を残すように斜面に面してつくられて堀川を思い起こす庭になっています。堀川から向こうには鈴鹿山脈も見えたそうで、茶室から見えるように窓が設けられています。

利休が提唱するような外界とは一線引いたような茶室ではなく、明るさや広さも感じさせ居心地のよさを求めたような空間のつくりになっています。床の間の筆柱、天井の意匠が細かく変えられていたり、土壁の意匠、襖の引手の「つぼつぼ」など、玄々斎のこだわりのようです。

2階は広々とした二間続きの広間で、両側に縁側があり風が抜けて気持ちのいい空間になっています。すっきりとした欄間や襖の桟の細かさや、こちらも玄々斎の趣味が活かされてます。

ここにも「つぼつぼ」の引手。

「つぼつぼ」とは。
茶道における千家の替紋、だそうです。替紋とは、常に使う定紋にたいしての略紋、だそうです。ある程度のお稽古を積まれたかたにお道具やお着物に使ってもいいよというお許しされたら使える紋、でもあるようです。表千家、裏千件、武者小路千家、それぞれにつぼつぼ紋があるようです。

かわいらしくて洗練されていて、現代でも襖紙のデザインに「つぼつぼ」っぽいデザインが使われてます。

手前の屋根が捻駕籠の席の屋根。ねじれてる感じがわかりますでしょうか。
この瓦、他のものよりかなり小さくつくられています。奥の屋根の瓦より小さいことがわかりますか?小さい空間の茶室を小ささを感じさせない工夫です。
屋根屋さん、これ葺くの大変だっただろうな。

下層の右側が茶室です。上のほうに見える屋根の部分が2階の広間です。
見るからに複雑。移築の時に解体したら名古屋流の建て方ではなかったそうで、おそらく京都から職人を呼んで建てたのだろう、ということです。

規綱と玄々斎は19歳離れた兄弟ですがとても仲が良かったようです。きっと二人ともデザインが好きで趣味が合ったんだろうな。玄々斎は茶道の世界でも活躍したそうで、きっと今でいう時代をリードする人気デザイナーですね。

そしてなんと、規綱も玄々斎も元は岡崎の生まれです。三河奥殿藩主の子として生まれ、規綱は渡辺家へ、玄々斎は裏千家へ、養子に入っているのです。

何百年後の人が見ても「かっこいい」と感じるセンスの良さ。すごい人です。

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