以前こんな記事を書きました。
では具体的にどういう間取りだと強度が弱くなるかというと、ポイントを2つあげてみます。
【①2階の柱と1階の柱の位置がずれているところが多い】
2階の柱と1階の柱が同じ位置にある割合を「直下率」といいます。
こんな間取りがあるとします。左が1階、右が2階です。吹抜けがあるとか極端なL型とか、特殊な形状ではありません。(玄関ないから実際はおかしいけど。)20帖あるLDKって憧れますよね。ウォークインクローゼットもある!
これの何がだめなのかというと。
これが直下率を計算したものです。紫色が1階と2階の柱が一致するところ。
左のオレンジ色の枠の中を見てください。柱直下率46.8%、壁直下率45.5%。どちらも50%をきっています。このCADソフトでは黄色の「注意」で表示されます。
この間取りでもおそらく耐震等級3にしようとすればできると思います。(外観にもよりますが)
とにかく、この赤丸のところに柱がないのは厳しいですね。2階に壁がありますから。2階から伝わってくる荷重を受ける柱が無さすぎる。
柱はなんで存在しているかというと、上からの荷重や力を下(地面)に伝えるためです。ここの柱が無いということは地震が起きた時に地面に力が逃げずにここでクシャっとなってしまう可能性があります。
熊本の地震の時に、今の耐震設計の住宅でも倒壊したものがあったというのはこういうことでした。
【②壁のバランスが悪い】
全体的に見て、1階は図の下のほうは柱と壁が少なくて上の方に集中してますね。柱と壁が少ないところ=耐力が弱いところです。
木造在来工法の場合、理想的には、ほどほどに強い壁が全体的にあることです。全体の数値を満たすために、柱と壁が少ない弱いところができると柱と壁のあるところに強い壁を持ってこざるを得なくなります。弱いところと極端に強いところができるわけです。建物全体の数値は満たしていても、弱いところがあると地震の時そこから崩れる可能性があります。
全体の数値を満たすこと、そしてバランスも大事ということです。
日頃から計算をしている建築士は、間取りを考えながらこういうことも考えてます。そして、お客様の要望を聞いているうちに、「この人の要望を満たすためには弱いところができそうだな」と勘が働きます。
そうすると、間取りをつくりながら計算もして確認しながら進めていくことができます。「こういう理由で構造耐力が弱くなるのでこうしたほうがいいです」と説明しながら間取りを決めていくことができます。
もっと言うと、標準的な計算ではなく本格的な構造計算が必要だな、と判断します。(構造計算はもっと専門的な建築士が行います。費用と時間が通常よりかかることが多いです)
間取りが決まってから「じゃあこれで計算してください」では遅い、ということです。
家づくりには様々な考え方があって、いろんな立場の人がいます。建築士として設計をしている私と、長年現場でつくってきた現場監督では経験も考え方も違います。「誰もが認める一つの正解」は存在しない世界です。
デザイン優先の人、素材優先の人、工法優先の人、得意分野もさまざまです。
違う立場の専門家が見て不足を補うことで、より安心安全な家づくりが広まって欲しい。そう思って私は家づくりのセカンドオピニオンをやっています。
間取り診断もやっています。ファーストプランが出た時点で間取り診断を受けることをおすすめします。たぶんファーストプランでは、お施主様の要望も施工者側の設計趣旨も表れているでしょうから。気を付けたほうがいいところ、が見えてくると思います。
何度もいいますが、間取り決まったから計算してね、では遅いです。
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