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捨てられないと思っていたものをあっさり捨てた話

物が溜まってしまうのは、使うか使わないかだけで決められないから苦労するんですよね。

物を捨てられないのは過去への執着か未来への不安、と私は講座などでもお伝えしています。

物に自分の想いを投影してしまうんですよね。そこを切り離して考えることが、物を溜め込まないコツでもあります。

 

これだけは捨てられない、いや、捨てたくない、そう思っていたものがありました。

一級建築士の試験勉強をしたノートやテキストです。ダンボールひと箱ありました。

試験勉強をしていた期間は当然ふつうに仕事もしてたし、残業も休日出勤もしてました。もともとそんなに休日が多くない会社で休日は毎週学校に通い、仕事から帰ったら毎日勉強。もうだめだー眠いーっていう瞬間まで机に向かいベッドに倒れこむように寝る、そんな日々でした。

人生で一番頭の回転が良かったですね。

決してラクではなかったけど、楽しかった、心からそう思います。あんなに集中力高く充実した日々は二度とないでしょう。

全ての試験が終わった時、学校のクラスメイトたちと「これから何があっても耐えれる気がするよねー」って話したことを覚えています。

過去の成功体験、私にとってはまさにそうでした。がんばった自分、能力が高かった自分、その象徴が勉強したテキストとノートでした。

合格してからもそれはひとまとめにして置いてありました。捨てようなんてまーったく思わずに。それを見るとあの頃の輝かしい(と思える)自分を思い出せたから。

使うかどうかでいったら使わないですよ、あきらかに。仕事で何か参考にできるかといったらそんなことはないですから。あくまでも試験勉強のテキストですから。

もともと物はそんなに溜め込まない方で捨てることには抵抗のない私ですが、それは意識してとってありましたね。

がんばってた自分を捨てるような気がしてたんです。

でも、あるときあっさりと捨てました。本当になんのためらいもなく。自分でも驚くくらいに。

独立することを決めた年の年末のことです。

見ることも開けることもなくなったそのダンボール箱をみて「あれ?これもういらんじゃん」って思ったことを今でも覚えています。

あれを捨てたからといってあの頃がんばった私が消えるわけじゃない。もうあの時から7,8年たってとっくに前に進んでいるんだから。もうそこに私はいないよね。

『気持ち』で物の価値がこんなに変わるのか、と自分でもびっくりしました。

物と向き合うことの効果を体験した出来事です。

そのころは片付けを仕事にするとは思ってもなかったけれど、この体験があるから片付けを仕事にできているような気もします。

 

物に自分を投影して捨てられない、という人の気持ちもわかります。

気持ちが変わって捨てられる時が来ることもあれば、手放すことで気持ちが前に進むこともあります。

手放せない、今はそうしか思えない気持ちも、変わる時はきます。

あなたが日々何かを感じ変化していれば。

 

 

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