金魚ってこんなに美しかったのか。
今までたいして気に留めたことなかったけれど、これを見たら金魚の見方がかわった。
「深堀隆介展」
まるで生きてる金魚を水に閉じ込めたかに見える。
おもしろいのが、2009年辺りから作品の技法が大きく変わっている。
それまでは何層もの樹脂に描いているものの、金魚そのものは平面的。
2009年あたりから、1匹の金魚が何層にも描かれていて樹脂のなかに立体に見える。まるで3D映画のよう。
冒頭に金魚を描くようになったきっかけが紹介されていて、それを自ら「金魚救い」と称している。
もう美術なんかやめようと思っていたとき部屋にあった金魚が目に入った。それを描いたとき「これだ」と思った、というエピソード。
芸術にしろデザインにしろ、自らの力で何かを生み出す人は、自分の中にある表現したい何かと、技法とかスキルとか表に出す手段と、それらがぴったり一致したとき「これだ」ってなるのだろうか。
技法に、その人が載る、そんな気がする。
言葉や意識や思考を超えて自分の中のある熱を表現に載せるって、どんな気分なのだろう。
これ全部、描かれた金魚。水に見えるのは樹脂。
刈谷市美術館で。11月4日まで。