素材選びの時、メンテナンスフリーのものがいいです、と言われるお客様がいらっしゃいます。
外壁や床材や屋根材や水回りの設備などなど。
メンテナンスフリーといううたい文句のものはありますが、基本的にメンテナンスしなくていいものなどこの世にはない、と私は思います。
風雨にさらされたり、日々の生活で人が歩いたり物を置いたり、水がかかったり、陽があたったり、地震で揺れたり。
家ってそれなりに過酷な状況なわけです。
メンテナンスフリーではなく、メンテナンスがしやすく補修が効く、そういうもののほうが結局は家が長持ちします。
例えば、木に見えて実は木目のプリントされたもの、というドアなどはとても多いですが、これらは表面材がうすく接着剤で貼られているだけなので剥がれたら中身が見えてみっともないだけです。破れたり傷がついたら補修したとしても跡がのこります。
無垢の木なら、傷がついてもへこんでも、中身は木に違いないので表面を削って磨いて塗装すれば新品同様です。
よく外壁た屋根で使われるガルバリウム鋼板をメンテナンスフリーという人がいますが、ガルバリウム鋼板でもメンテナンスは必要です。
特に外壁は、どんな素材であっても継ぎ目のシーリングが劣化します。使っている素材そのものの補修よりこのシーリングの補修のほうが重要です。ここが劣化するとここから水が外壁内に染み込みますから。
ガルバリウム鋼板は鋼板にメッキ加工がされたものです。このメッキの部分の耐久性でガルバリウム鋼板の耐久性が決まります。メッキされているわけですから、傷がついたりしたらそこから劣化して錆びることも十分考えられます。
どんな素材でも、メンテナンスフリーを望むなら、マメに手をかけてチェックすることです。まるで真逆なことですが、結局それがきれいに長持ちさせることになります。
人が住んでいない家は傷みが早いっていいますよね。実際そうなのですが。
住んでいる人によって、家はずいぶん変わります。何十年と経っている家をいろいろみると、その違いに驚きます。
ていねいに使う、大事にする。物も家も人間も。同じことです。