家づくりをしようとしている人たちで構造強度を気にする人は多いですが、
それだけじゃなくて断熱もだいじですよー、っていう話をいつもしているのですが。
正確に言うと断熱じゃなくて、温熱環境が大事、でした。
何が違うの???って思いますよね。
「体にいい食事」って考えたとき、塩分の取り方だけで体にいいと言えますか?違いますよね?野菜や肉をバランスよくとか、油を使い過ぎないとか、食べる時間とか。
いろいろな要素をうまい具合にとりいれて最終的に「体にいい食事」ってなるわけです。
断熱だけちゃんとしていても他が適当だと最終的に温熱環境はコントロールできずに快適性は対して保たれずに冷暖房費がかかってしまう。
いい断熱材入れたのに、そこにお金かけたのに、費用対効果が得られない、ってことになってしまう。
断熱、温熱環境、気密、換気・・・。家づくりにおいてこのあたりをどう設計するか、その手法は入り乱れてます。あちらを立てればこちらが立たず、というようなことや、コストのことや、施工性のことや、いろいろあって一概にこれがいいといいきれない分野です。
今日はその答えを導き出す方法を学んできました。
松尾設計室の松尾和也先生。
大学教授とかメーカーの研究員じゃなくて一介の建築士でここまで調べて理論を構築することはそう簡単にできることじゃないと思います。
講義中いろいろな名言があったのですが、
「勘が働くとは数字やデータの裏付けがあってこそのもの」
木造住宅の世界は「経験値」でつくられていること、周囲や業界の慣習、法律や制度で決められて計算、これらを元に「これなら大丈夫だろう」という感覚でつくられていることが多いです。
工業製品や自動車業界の設計やってる人から見たらとんでもないアバウトさです。
精密機械並みの正確さを木造住宅に持ち込むこと自体がおかしい、1棟1棟を現場でつくる家づくりとはこういうものだ、という意見が業界にはあります。
でもさ、それって業界人の都合のいい言い訳なんだよね、お客様のためじゃないんだよね。
ハウスメーカーを毛嫌いする工務店の人は多いですが、ハウスメーカーは研究だけをしている人というのが存在するんですよ。日々の現場やお客様対応の合間に性能や工法を考えてる工務店とは研究にかけてる労力が違う。(だからといってハウスメーカーが全て正しいことやってるわけではありません)
敷地の状況を数値化して温熱的に最適な配置を考え、外部の気温の変化をうけないようにして、日射の効果を効率よくとりいれ、室内の空気の状態を制御して、冷暖房費も節約できる。
これらが全て根拠のある数字から計算できて判断できる、というのが今回学んだことです。
その結果、季節を問わず暑さ寒さをがまんせず光熱費も抑えて快適な暮らしをお施主さんに届けることができる。
建築士は芸術家ではないので哲学や思想の前に知識や理屈を根拠にデザインすることが必須だと私は思っています。
日々の探求と学びは果てしないな・・・・。