美容師さんに髪切ってもらっているとき、どんな話しをしますか?
私はもっぱら「仕事をする」ということがテーマです。その美容師さんと私は同じころに独立してお互い個人で仕事をしている身。業界は違うけど、どんなことを考えてどうやって仕事をしてるか、ってことを話すことが多いです。
そんな真面目な話!?って思うかもしれませんが、けっこう笑いながらケラケラとしゃべってるので、そこでの会話が今後のヒントになったり気持ちの整理になることがとても多いんです。
今日もそんな会話をしてるなかで印象的だったことが。
私も美容師さんも「デザインする」ということが求められる立場です。
その美容師さんが言うには「勤めていたころ、マネキン使って自分でヘアスタイルを考えるのが苦手だった」と言うのです。
「髪を切る相手のバックグラウンドやストーリーがないとつくれない」んだそうです。
私も同じです。
好きなものをつくっていいとか、どんなデザインが得意ですか?って聞かれると困るんです。「どんな家」の答えはお客様の中にあるので。
お客様がどんな人生観をもち、どんな価値観をもち、何にポイントして暮らしていくのか、それを紐解いていかないとデザインはできません。「どんなキッチンにしますか」「どんなデザインにしますか」「何をしますか」そんな質問では見えてこない、根本的な人となりが見えてこないと、その人の人生にぴったりな家にはならない、と私は思っています。
一目で魅かれるようなかっこいいものが創れないと独立した建築士にはなれないと思っていました。それができないことにものすごくコンプレックスを感じていたし、今でもそれは感じるし、それが創れる建築家といわれる人たちをうらやましくも思います。
でも、逆に、デザイン力じゃないことをウリにする建築士って少ないんじゃない!?
って言われたのです、美容師さんに。
私は家づくりを通してその人に自分の想いを実現する生き方をしてもらいたいと思っています。自分の生き方に自信をもてるような家を手に入れてほしいと思っています。
私は「家をつくる」ことで、美容師さんは「髪を切る」ことで、お客様の想いを表現する。「家」や「髪」はたまたま興味が強かったからツールとして選んだだけで、目的はその先にあるんですよね。
オリジナリティや発想力より、コミュニケーションや考える過程を重視する、そんな家づくりが私の得意な「デザイン」といえるのかもしれません。
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